■友人や島民らが祝福
瀬戸内海に浮かぶ豊島(香川県土庄町)の甲生地区にある瀬戸内国際芸術祭作品「遠い記憶」で結婚式があり、同芸術祭の活動を通して知り合ったカップルがアート作品の前で友人や家族、島民ら約90人が見守る中、永遠の愛を誓った。
挙式したのは、いずれも高松市のイベント企画制作会社経営、大石宏樹さん(36)と会社員、永津子さん(28)=旧姓古竹=夫妻。
永津子さんは、平成22年の同芸術祭からボランティアサポーター「こえび隊」のメンバーとして同地区の人たちと交流。宏樹さん=静岡県浜松市出身=は、25年の同芸術祭のイベントスタッフとして香川県に滞在、宏樹さんが担当するイベントを永津子さんが手伝ったことが出会いのきっかけ。
2人は2年の交際期間を経て昨年10月に入籍。今回、式場となった「遠い記憶」は同地区の元集会場を活用したトンネルのオブジェ。永津子さんが作品の完成当初からオブジェをバージンロードにして歩きたいと希望していたことから、思い出の作品での挙式が実現した。
こえび隊の音楽隊「こえびカンダダン」らが演奏する結婚行進曲が流れる中、新郎新婦がバージンロードをくぐり抜けて姿を見せると、会場は盛んな祝福の拍手に包まれた。
式では、結婚指輪を交換し、立会人代表の植松武義さん(76)=同地区元自治会長=の「2人で支え合って生きていくことを誓いますか」の問いかけに、新郎新婦は「誓います」と宣言し、結婚証明書にサインした。
植松さんは「アート作品になる前の集会場で自分も披露宴を行った。思い出深い場所での挙式にご縁を感じる。永津子さんは地域住民にたいへん慕われており、幸せな家庭を築いてほしい」とエールを送った。
永津子さんは「大切な人たちに囲まれて思い出の場所で式が挙げられてうれしい」と笑顔。宏樹さんは「二人をつないでくれた瀬戸内国際芸術祭をこれからも夫婦で盛り上げたい」と話した。