アートと自然の“熱い世界” 「瀬戸内国際芸術祭2016」夏会期、18日開幕 香川

18日に開幕する「瀬戸内国際芸術祭2016」の夏会期。17の新作を含む148点が並び、いずれも島の自然や風景、そこで暮らす人々の生活を表現した力作ぞろい。この夏、島はアートの“熱い世界”に包まれる。

小豆島(香川県土庄町)に新たに出現した作品「国境を越えて・潮」。全長約150メートルの砂浜に196体の子供の像が林立。像の数は日本が認めた国の数で各国の方向を望み、胸にそれぞれの国の首都の緯度と経度、背中には島から首都までの距離を記している。船が難破し、海に消えた各国の子供たちをイメージしたという台湾人作家の林舜龍(リン・シュンロン)さんの作品だ。林さんは「多くの幸や不幸を体験する子供たち。海から世界につながる愛のエネルギーを感じてほしい」と話している。

女木島(高松市)ではタイの現代美術アーティスト、ナウィン・ラワンチャイクンさん(45)らが手掛けた「西浦の塔(OKタワー)」(高さ約12メートル)が登場。塔いっぱいに島の生活を満喫する西浦地区の住民らの様子を映画館の看板風に描き、島民らのインタビュー音声が流れる。

男木島(高松市)の「Lighthouse Keeper(ライトハウス キーパー)」は韓国人のイム・ミヌクさんの作品。島の灯台守が住んでいたという古民家を改修して制作。「灯台守の夢」をテーマに、約10基の灯台の模型が徐々に明りをともす様が幻想的な空間を作り出している。

豊島(香川県土庄町)の古民家を使ったオーストラリア人作家、ケグ・デ・スーザさんの作品「豊穣:海のフルーツ/豊穣:山の恵み」。家の中に作られたトンネルは島民らが持ち寄った「海苔(のり)」でできており、太陽の光を浴びてステンドグラスのようにキラキラと輝く。

今回の瀬戸内国際芸術祭は「アジア」と「食」も重要なテーマ。高松港周辺ではアジアを中心とした世界各国の食やパフォーマンスが楽しめる「瀬戸内アジア村」が登場。同市の栗林公園では演劇鑑賞と香川県の食材をふんだんに使ったディナーが楽しめる「讃岐の晩餐会」も予定されている。

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