「青春18きっぷ」を使って乗りたい「四国地方の絶景路線」5選
一度は降りてみたい「下灘駅」(予讃線)
待ちに待った「青春18きっぷ」のシーズンがやって来た(発売期間:7月1日~8月31日。利用期間:7月20日~9月10日)。「青春18きっぷ」は、北は北海道から南は九州まで、1日あたり2370円でJRの普通列車が乗り放題。今年の夏は、ぜひ「青春18きっぷ」で鉄道旅行に出かけてみませんか? けれども「どの列車に乗ったらいいか分からない」という方も多いはず。そこで今回は、「青春18きっぷ」をこれまで100回以上利用し、日本全国のJR線をほぼ乗り尽くした鉄道旅行マニアの男性(40代)が、四国地方の絶景路線を5線紹介します。
【本四備讃線(岡山~高松)】
「本州と四国を結ぶこの線は、瀬戸大橋線という愛称の方がメジャーな路線。四国の人々の悲願によって完成した瀬戸大橋を通り、本州と四国とを結んでいます。
沿線のハイライトはもちろん瀬戸大橋。海峡部だけでもおよそ9.4kmもある瀬戸大橋は、界面から数十メートルの高さにあり、瀬戸内海を行き交う船や、遠く浮かぶ小島を眺めることができます。日本中に絶景路線は数多くあれど、このような景色が見られるのは瀬戸大橋線だけ。橋を渡るだけなら、岡山駅から2時間ほどで往復できますので、ちょっとした寄り道にもぴったりです」
【予讃線(松山~宇和島)】
「“伊予”と“讃岐”を結ぶ予讃線は、高松駅から松山駅を経由し、宇和島駅まで300km近くを結ぶJR四国最長の路線。全線の大部分で瀬戸内海沿いを走る気持の良い路線ですが、とりわけオススメなのが松山~宇和島間です。
中でも絶景中の絶景が、鉄道ファンなら知らない人はいないであろう下灘駅です。目の前に伊予灘が広がる下灘駅は、1日平均の乗降客数が数十人という小駅ですが、これまで何度も青春18きっぷのポスターに採用され、ドラマや映画のロケ地として使われたことは数知れずという絶景駅。駅のベンチから伊予灘に沈む夕日を眺めれば、きっと時間を忘れられるはずです」
【予土線(北宇和島~若井)】
「こちらの予土線は、“伊予”と“土佐”を結ぶ路線。全長わずか76.3kmしかない予土線ですが、列車はこれを約2時間かけて走ります。『しまんとグリーンライン』の愛称どおり、列車は四万十川沿いを進みますが、四万十川の“蛇行っぷり”は強烈。中でも江川崎~土佐大正間では、トンネルを出て鉄橋を渡るたびに川が流れる方向が変わり、方向感覚を狂わされます。
予土線には、0系新幹線を模した『ホビートレイン』なる列車も導入されており、これは鉄道車両に興味がない人も必見。『速い=正義』に慣れ切った都会人にぜひとも乗っていただきたい路線です」
【土讃線(多度津~高知)】
「香川県から徳島県を通って高知県に抜ける土讃線は、四国の重要幹線にして絶景区間が多い路線。さまざまなタイプの絶景が楽しめる路線です。
香川県側から乗車すると、第1の必見ポイントは坪尻駅。この駅は、全国でも数少なくなったスイッチバック駅です。駅を降りても人家もなければ道路もなく、『なんでこんな所に駅が?』と、疑問に思う人もいるかもしれません。きっとカルチャーショックを受けることでしょう。
そして次の絶景区間は、観光地としても名高い大歩危(おおぼけ)・小歩危(こぼけ)付近です。列車は四国を潤す吉野川沿いを進み、荒々しい川面とV字谷を眺めることができます。さらに山間を進んでJR四国の最高地点の駅・繁藤駅を過ぎると、列車は一気に下って高知平野に。四国の大きさと自然の豊かさとを味わえる路線です」
【高徳線(高松~徳島)】
「ハッと息を呑むような絶景こそないものの、しみじみとローカル線の良さを感じられるのがこの高徳線です。高松駅を出ると、車窓はすぐに住宅と田んぼや畑が混在する郊外の景色に変わり、途中『オレンジタウン』という珍しい駅を過ぎると、讃岐津田~鶴羽間では播磨灘が望めます。
全線を乗り通すと2時間以上かかる高徳線ですが、『ここだけは見逃せない』という区間がないので、ウトウトするのもこれまた良し。ふと目覚めた時に目の前に広がる田んぼや自然、鄙びたローカル駅を見れば、きっと『鈍行列車に乗る幸せ』を感じることができるでしょう」